「真珠を売るのは難しい」とよく言われる。ダイヤのようにきちんとした基準が無いことや、形や色やてりの善し悪しの判断基準が扱う人の感性に委ねられているからだ。ましてや色とりどりのフィジーパールのネックレスは、さらにその色相のセンスが加わるので大変だ。
誰が見ても「美しい真珠」があったとしても、その「干渉色の入り方」が人によっては「好き」だったり「嫌い」だったりする。カラーチャートも点数も無く、見る人の感性と好みだけが基準だ。てりが良いのがベストと思ってきたが、てりが弱い真珠を「シルキー!フォーミダブル!」と好むヨーロッパ人もいる。ましてやエクボや傷(と呼びたくないが)の許容範囲はさまざまだ。
「天は二物を与えず」。テリが良く綺麗な色の美人さん真珠なのに、裏にざっくりと線やらエクボが点在しているものが在る。どうにかしてお嫁にいかせたいので、この欠点をも愛してくれる方をみつけて説得する場面も多々あり(笑)。すべてを受け入れて欲しい、とついつい愛すべき点を強調してしまう。「気持ちはわかるけれど、それは作り手側の論理でしょう」とある方に言われた。ごもっとも。反省しています。
作り手側の苦労話はおもしろく聞いていただけるが、度が過ぎるとまさに「ごり押し」だ。プロ失格。まだまだ精進である。