カルティエのアーカイヴピースなど約250点を集めた特別展『Story of…カルティエ クリエイション~めぐり逢う美の記憶』 カルティエ展@東京国立博物館・表慶館に行ってきた。(5月31日まで、金、土、日、祝は20時まで延長開館に)
マハラジャのネックレス
シンプソン夫人のカボッションサファイア
ジュエラーとしての繊細な腕時計、細工がおもしろい置き時計なども含めて、眩いダイアの煌めきに圧倒された。マハラジャの戴冠式用に使われたというダイアのネックレスが圧巻だが、パンテール、スネーク、フラワーなどいまでも継承されているデザインの数々の真髄を観た。
展示その他のディレクションは若手デザイナー吉岡徳仁氏の起用による、いままでのジュエリー展とは違った趣を放つ。一部展示品とその説明を映像手法でプラスされていたことで、眼と脳の連動により記憶にしっかり刻まれるというおまけつき。
今回は作品の持つ物語に注目という。ヨーロッパでのジュエリーの歴史は長い。オーダーされた経緯、持ち主がたどる数奇な運命。思いを馳せると夜も眠れない(笑)
平成館で開催中の『阿修羅展』も観てきたのだが、こちらも圧巻。過去に、興福寺で観た阿修羅とはまた違う印象だった。今回は360度方向から観ることが出来るという点も違うが、年代を経て自分が観る阿修羅へのイメージが変化したということなのだろう。正面の顔には、たくさんの人間の哀しみを理解しているような優しい眼差しと微笑みがある。絶望をも知っているからこそできる憂いのようだ。写真よりも、ホンモノはスリムな美形です。私は左斜め上から見た顔が一番好きです。
洋と和のゆるぎない歴史と伝統を目の当たりにして、現代に生きる人間ができることって本当に小さいと感じ入りました。